日本の小中学生の10人に1人が発達障害と言われる今、世界中で発達障害者が急増しています。
本記事の内容
①発達障害は遺伝的要因とは限らず、環境要因によって起こります。
②発達障害は脳神経伝達回路の障害として起こる可能性が指摘されています。
③世界的に使用されているネオニコチノイド系農薬は神経毒で、人にも有害です。
④ネオニコチノイドフリーの食事により体内のネオニコチノイドを減らすことができます。
①発達障害は遺伝的要因とは限らず、環境要因によって起こります。
まず、発達障害の原因についてですが、少し前まではwikipediaにあるように、「原因は先天的である事が殆どで、発達の遅れに伴う能力の不足は生涯にわたって治る事はない」と言われていましたが、これは一部はそうだが、すべてに当てはまる話ではないということが分かってきました。
なぜかというと「先天的」というのは別な言い方をすれば「遺伝的」ということなのですが、遺伝的であれば、世界的に急速に発達障害が増えるという現象は起こりえないのです。
発達障害は50年ほど前にはほとんど問題とされておらず、専門医もなく、結果として医学的な疫学調査を行った論文もほとんどありません。
遺伝子というのは数十年という短い間に広範囲に変化するようなものではありません。それこそ何百年、何千年という長い年月を要します。
(ちなみに私は大学院時代、植物遺伝学を専攻していますので素人ではありません。)
例えば、アメリカカリフォルニア州で自閉症者が1987年 か ら1998年の11年間 に登録数が約2倍に急増しているという報告があります。このような短期間に遺伝子が広範囲に変化するということはあり得ません。
国立障害者リハビリテーションセンター・発達障害情報・支援センターのウェブサイトより
②発達障害は脳神経伝達回路の障害として起こる可能性が指摘されています。
これまでの研究で、自閉症を起こすような原因遺伝子は見つかっていませんが、自閉症に関連する遺伝子はたくさん見つかっています。これらの自閉症関連遺伝子の多くが神経伝達回路のシナプスと呼ばれる部位の形成や遺伝子発現に関わるものでした。
このことから、自閉症は脳神経回路中のシナプスに異常が起こり、特定の神経回路が正常に働かないことで起こるのではないかと考えられています。
2011年、自閉症は一卵性双生児の大規模な調査が行われ、遺伝的な影響は約37%、環境要因は63%と報告されています。
一般に脳の発達は、妊娠中から始まり、12歳頃までに終わります。
農薬などの環境化学物質は胎盤や母乳を通じて、血液脳関門が未発達な子どもの脳に入りやすいことが分かっています。
2012年アメリカ小児学会が228もの論文を引用し農薬曝露による発達障害や脳腫瘍リスクについて警告しています。
小児期には脳重量の著しい増加がみられることから、この時期に急速に脳が発達すると考えられ、特に、以下の3時期は発達障害を考える上で重要です。
1)2歳までの乳幼児期
2)5-6歳の 学童前期
3)11-12歳の思春期
自閉症以外の発達障害でも同様な発症メカニズムが考えられています。
③世界的に使用されているネオニコチノイド系農薬は神経毒で、人にも有害です。
東大、昆虫の体性感覚神経回路の構造を解明 -哺乳類との高い類似性を発見
東京大学は、同大学分子細胞生物学研究所の伊藤啓准教授、坪内朝子 脳神経回路研究分野研究員(研究当時)、矢野朋子氏らの研究チームが、キイロショウジョウバエを使って昆虫の体性感覚神経回路の構造を解明し、哺乳類のそれと極めて類似性が高いことを明らかにしたと発表した。(Science 03 Nov 2017:Vol. 358, Issue 6363, pp. 615-623)
五感の他の全ての神経回路でも高い類似性が見つかっていることを考えると、ばらばらの進化の末に偶然による収斂進化が全ての場所で一致して起こったとは考えにくく、基本的な五感の処理機能を備えた脳を持つ共通の祖先がいたと考える方が自然である。
(右)日本医療研究開発機構より転載
昆虫と人間の脳神経系は類似しているのに、果たして、ネオニコチノイド系農薬は人間には作用せず、安全だと言えるのでしょうか?
答えは否です。
国立研究開発法人 国立環境研究所環境リスク・健康研究センターの前川文彦主任研究員と佐野一広特別研究員らは、妊娠期から授乳期に至る発達期にネオニコチノイド系農薬の一種であるアセタミプリドに曝露された雄マウスは、成長後不安行動異常などの各種行動異常を示すことを明らかにしました。実験の結果、1 mg/kg体重/日以上のアセタミプリドが発達期に曝露された場合に行動影響が観察されました。In utero and lactational exposure to acetamiprid induces abnormalities in socio-sexual and anxiety-related behaviors of male mice. Frontiers in Neuroscience 10:228 (12 pages)
昆虫にしか効かないので安全と言われているネオニコチノイド系農薬がマウスの雄の異常行動を引き起こすことが明確に観察されたのです。発達障害も女の子よりも男の子に多いこともこの実験結果と一致します。
一般的に医薬品などを開発する際、マウス等の動物で危険性が見つかれば、当然人間でも危険性があると考えるのが普通です。
こういった論文は科学系の文献で探せばたくさん見つかりますが、中にはネットで削除されているものもあります。
さらに、下のグラフは単位面積当たりの農薬使用量と発達障害の有病率のグラフです。
どちらのグラフも、1位韓国、2位日本、続いて3位イギリス、4位アメリカと、見事に農薬使用量と発達障害の関係性が高いことが示されています。
こういったデータが明るみにでて、EUでは2013年に規制が始まり、フランスでは2018年から全面禁止になっています。
ネオニコチノイド農薬による実際の被害の報告もあります。
長野県の小学校で起こっている事態が「松本の松枯れを考える住民の会」のFacebookページに紹介されています。
松枯れ予防のためネオニコチノイド農薬を空中散布した影響で、27人の小学校のうち、1人は長期入退院、1 0人が授業中に外へ出てしまったりするADHD(注意欠如・多動性障害)、7人は教室にはいられるものの勉強が追いつかない状態で、通常通り授業を受けられる子が8人という以上事態が起きていたようです。
残念ながら我が国は、こういった情報がメディアで問題視されることはほとんどなく、国民の多くはこの事実を知らされていません。
なぜならTVや新聞といった既存メディアは農薬メーカーを含む大企業からの広告収入で成り立っているからです。
そして、大企業からの献金や企業経営者などを民間議員と称して参画させる政府系会議を通じて、欧米などの農薬規制の流れに逆行するかのように、ネオニコチノイド系農薬の残留基準を緩めており、国民の健康を農薬メーカーに売っているとしか言いようがありません。
我が国の政治家やエリート官僚、経済界は極めて不道徳です!
未来を担う子どもたちは国の宝です。
子どもの健全な発育を妨げる行為は決して許されることではありません。
そしてこの状況を報道しないマスメディアの罪も同様に重いと言わざるを得ません。
私たちは自ら情報を集め、団結して、こういった不道徳に対抗していかないと、子ども達が生きていく未来は守れないと思います。
④ネオニコチノイドフリーの食事により体内のネオニコチノイドを減らすことができます。
福島県の有機農業ネットワークで行った調査をみてみましょう。
子育て世代の一般市民が通常の農薬を散布して育てた慣行食材(スーパー購入)を食べた際、尿中のネオニコチノイド量を調べたところ、合計で5.0ppbのネオニコチノイドが検出されました。
検出されたのは、ジノテフランが2.7ppbと最も高く、次がアセタミプリド代謝産物の1.6ppbでした。他のネオニコチノイドも人によっては検出されました。
そこで、5日間有機農産物のみの食事を摂ったところ、合計値が半分以下の2.3ppbに下がりました。さらに1ヶ月食べ続けると0.3ppbにまで下がりました(下図)。日常から有機食材を生産して自らも食べている有機農業者も0.5ppbでした。
新潟県佐渡島で生息する国の天然記念物トキが、野生では2012年に繁殖するまで4年間かかったことについて、神戸大学の星教授がネオニコチノイド系農薬の悪影響を指摘しました。
トキの代わりにウズラを使った実験では、ネオニコチノイド系農薬クロチアニジン水溶液を雄のウズラに30日間飲ませたところ、濃度が高いほど生殖細胞が減少しました。
2012年にはネオニコチノイド農薬を佐渡島で全面的に中止したところ、2013年にトキの繁殖が成功するようになったのです。
発達障害の増加同様に、不妊に悩む人も急増しており、このようにネオニコチノイド農薬の暴露をなくせば、不妊を改善できる可能性があります。
前述したように、農薬などの環境化学物質は胎盤や母乳を通じて、血液脳関門が未発達な子どもの脳に入りやすいことが分かっています。
妊娠中はできるだけネオニコチノイドフリーの食事により体内のネオニコチノイドを減らし、乳幼児期もできる限りネオニコチノイドフリーの環境を整えることが重要です。
個々の努力と合わせて、ネオニコチノイド農薬を私たちの社会から無くす努力をする必要があります。
それが将来世代へのツケを残さない、私たち大人のつとめなのではないでしょうか。